論 考

危機意識なき大新聞の社説

 昨日、中国全人代(国会)が開幕した。本日の社説を見ると、朝日は「危機感を改革に向けよ」、読売は「異質な政策の是正が問われる」と大所高所から論じている。

 2008年の米国発金融危機の際、中国は巨額財政出動で世界経済を支えた。債務が大きく拡大したので、15年には財政圧縮と金融自由化に舵を切った。

 諸外国が金融自由化を急がせた結果は、中国内資金が海外へ流出して株価が暴落、世界経済の景気後退局面となった。

 で、また舵を切り直して財政刺激策へ転換、17年には債務がGDP比15%前後といわれた。

 またまた舵を切り直して緊縮財政で一挙財政赤字を6%程度縮小した。国内需要が弱まったのは必然である。

 目下、世界の製造業の生産活動が鈍化し、貿易輸出額が減少している。これは中国の経済運営と密接な関係がある。

 外から高論卓説を述べるのも結構ではあるが、たとえばわが国は、もはや金利引き下げの余地はゼロだ。中国経済に大きく依存していることを無視して、中国共産党異質論をぶっている場合かねえ。