論 考

ピエロ

 トランプはG7参加の傍ら、シチリア米軍基地で兵士諸君に対して「サウジからG7での(一連の行動が)歴史的外遊で、驚くべき成果を得た」とスピーチしたらしい。

 わたしの見るところ、「驚くべき」は直ぐに腐る修飾語、「成果」とは、事態をかき混ぜてカオスの度合いを増したということである。

 シーア派のイランを孤立させるようにスンニ派諸国を煽ったが、彼らは冷静に対応した。わたしが思うに、こちらのほうが驚くべき冷静さであり、さすがだという感想なんである。

 NATOでは、「守ってほしけりゃカネを出せ」という態度で、品位もなにもあったものではない。トランプの出演するところ、すべからく三文芝居になる。

 読売社説(5/29)「G7 『米国第一』回避へ結束強めよ」と書いたのも、宜なるかなであります。

 わたしはG7について、アメリカの力の低落傾向を改めて感じた。(世界秩序を仕切ってきた)主要国内部が分裂気味になるというのは、第一次世界大戦から第二次世界大戦の間に書かれた『危機の二十年』(E.H.カー)の文章のあちらこちらを想起させられた。