論 考

ペースを落として語らいを

 ある人からいただいたお便りに、「職場は本当に忙しく、出口の見えない労働強化状態であり、新人に仕事を教えてあげられる環境もなく、入社2年程度の若者の離職が目立つ」と書かれている。

 人手不足の深刻さは否定できない事実である。

 しかし、働く現場が超繁忙というのであれば、世間は活況で、消費も大活発となりそうなものだが、そうはなっていない。奇妙奇天烈である。

 24時間の某コンビニが人手不足で閉店時間を設けたところ、極端な売り上げが下がっていない。ところが本部からは閉店がけしからんというので巨額の違約金を請求されているらしい。

 ここらで、労使共に頭を冷やして、まず、1人ひとりの生活を基盤にした労働時間に基づいて、働き方のペースダウンを試みてはどうだろうか。

 経営者は、機械が回っていなければ静かすぎて落ち着かないのだろうか。しかし、人間は機械ではない。結局、働いているのではなく、動いているだけになっているのではないのか。

 動きつつ思索を深める高等な人が多いわけがない。新人が定着しないこと自体が、すでに、その集団の限界を如実に示している。

 皆さんの働いている現状を総がかりで語らってみようではないか。いかに愛社心、さらには愛国心に燃えていても、非合理的な働き方を繰り返していると結局自壊・自滅するしかないのだから——