論 考

すべての仕事は骨折りである

 レオパレスの33都府県・1,324棟に及ぶ建築基準法違反は、経営者は現場判断だという。状況証拠的には会社の組織的行為にしか見えない。

 現場判断とは「手抜き」である。

 もし、手抜きだとすれば、現場がラクしたいと考えたのか、あるいは厳しいコストの帳尻を合わせたのか。

 ラスキン(1819~1900)は『建築の七燈』において、(建築の)「すべての仕事は骨折りであった」と短い言葉で現場魂を語った。

 現場が魂を失っていたとしても、そのような気風が蔓延しているとすれば、それは企業の組織風土として糾弾されても仕方がない。

 政治家が次々と無責任な発言を繰り返す。少々のことがあってもその時期を乗り切ればよろしいという政治風土が蔓延することと、官僚体制の弛緩もまた極めて相関性がある。

 ソフトの仕事で、人々の社会的生活を安定させる政治の仕事は、目に見えにくいが、それだけに政治の精神としては、なおさらラスキンの指摘した現場魂を確立せねばならない。