外国人特派員であれば、「日本では、政府がきちんとした仕事をしないのが普通だ」と書くかもしれない。
なにしろ首相はじめ政治家が話す言葉と実態が異なる。
官僚の仕事がずさんである。もちろん、これは問題が露見した部分だから、何からなにまでいい加減だというのではない。
しかし、議会で黒を白と言うがごとき答弁で事態を突破していくのが当然のようになっているから、真っ当に仕事をしている領域もやがて浸食される危惧を捨てきれない。
トーマス・グレシャム(1519~1579)が、1560年エリザベス1世に「英国の良貨が外国へ流出するのは地金の価格が法定価格より劣る貨幣を鋳造するからだ。良貨は保蔵され、悪貨のみが流通する」と指摘した。
社会的信頼感が社会の雰囲気を支える。
言葉が信頼されなくなると、社会が乱れる。こんな常識がすでにわが国ではどこかへ押しやられているのではないか。