論 考

対ロシア外交の懸念

 ロシアとの平和条約交渉は時宜を得ているであろうか。

 そもそもロシアには、平和条約締結を急がねばならない事情がない。日本では、ロシアが経済的支援に大きな期待を寄せているという物語が作られているが果たしてそうだろうか。

 プーチン戦略はかつてのソ連領を回復していくことにある。大きな犠牲を払ってウクライナの一部を併合したものその流れである。

 ラブロフ外相が会見で表明したのは単なる揺さぶりではない。

 日本の外交が、アメリカを離れて意思決定できないことは見透かされている。それはそれ、これはこれというのが日本外交だが、それに見合う経済を中心とした援助が半端なものであれば、ロシアが食指を動かすわけがない。

 対ロシア外交で点数を稼ぎたいという安倍外交の狙いは先刻ご承知である。

 ここは冷静に仕切り直しするべきだと、私は考える。