論 考

県民投票妨害の動きが意味すること

 議論して結論を出さなければならない問題を、じっくり煮詰めないままに直接投票をするのは、多数決のまずい使い方である。イギリスのBrexitがまさにその見本である。

 そもそも直接投票が求められるのは、議会における少数派の権利が軽視されるからだ。

 沖縄県の県民投票は、国の安全保障を背景に「早期」返還という概念自体が不当な普天間基地返還の条件として、辺野古に新基地を作るという問題に対する県民の異議申し立てである。

 事柄の性質上、県民が国政の在り方について意思表示をしたいのである。

 一部の市が投票事務をやらないという方法で、全県民の投票をさせない動きが出た。もちろん、党派性からしても十分に予測できた。

 県民投票の結果が直接法律的効果をもたないが、政府のやり方に対する信任投票の意味合いがある。県民の声を虚心坦懐に聞こうとしない政府与党の傲慢さは、投票する以前からはっきり示されていることがわかる。