論 考

金融動向はいかに?

 「世界の産業制度に関する決定的な支配は、(資本主義の)歴史の必然によって、市場の駆け引きにとくに巧妙なもの(金融的な詐術の名人)に委ねられるようになる」(T・ヴェブレン 1852~1929)

 ヴェブレンの予言は1920年、ほぼ100年前である。

 詐術の名人という表現はきついかもしれないが、実際、いまの世界経済はまさに金融名人の手中にあるというべきだ。

 日本時間1月3日7時40分、外為市場では8分間に円が対ドルで3%超上昇した。何が理由なのか、専門家が取り沙汰するが、本当のところは不明だ。

 世界経済に対する減速懸念が続く。為替市場の取引はリスクを容易に閉じ込められないらしい。

 投資家は、為替が変化するのは当然という立場だが、企業などは、為替変化に恬淡としてはいられない。

 7日、世界銀行総裁ジム・ヤング・キム氏が任期を3年残して突然辞任表明した。オバマ時代の2012年に韓国系米国人で医学者出身だというので話題を招いた。

 問題はトランプ筋にありかとすぐに思いがちだが、目下辞任の真意は不明。

 わかりにくい金融問題の、わかりにくい事件が発生した年明けだ。今年の金融情勢はどうなるか。いずれにしても関係者には慎重であってほしい。