論 考

親分が親分なら、子分も子分だ

 国際捕鯨委員会(IWC)が、商業捕鯨の実質的禁止を決定したのは1982年総会である。さらに86年総会で商業捕鯨が禁止された。

 日本は調査捕鯨という名目で捕鯨をしてきたが、2014年国際司法裁判所で「(調査捕鯨は)科学目的とはいえない」という判決が出された。

 で、今度は、ならば調査捕鯨は止める。そしてIWCを脱退すれば商業捕鯨禁止の取り決めから逃れられるという理屈で、IWCの脱退を通告したわけだ。

 さっそくオーストラリア政府は非難を声明した。

 いま、たんぱく源としては全肉類の0.1%に過ぎない。敗戦後の食糧事情から鯨肉がたくさん出回ったが、昨今は、極めて一部の人々の嗜好食品である。

 日本的美風であるところの「ことを荒立てて」まで捕鯨にこだわるのは賛成できない。国際的には決して小さくない失点である。

 鯨文化でやってきたというのも反対国には説得力がない。しかも、これまた国会審議はまったく無視だ。

 自分に不都合なことは話し合いの輪から抜ける。これ、関西流表現では、「まったく、親分と同じことをやる」とおちょくられる。