論 考

下請けに活路はない

 目的をきちんと考えずに目先のことで右往左往するのはよろしくない。

 たとえば防衛大綱だ。

 空母体制を整えようとすれば、空母1隻を機動させるためには空母3隻、飛行隊は300機程度、さらに空母を防衛する駆逐艦、潜水艦などを揃えて艦隊を組織しなければならない。つまりは膨大な費用と要員が必要である。

 かつてわが国の電機メーカーは、コンピューター開発が「金食い虫」だとしておおいに苦しんだものだが、防衛体制の整備なるものは、それどころではない。とてつもない費用を必要とする。

 「いずも」と「かが」を空母化しても、自衛隊が空母艦隊を単独で編成できないので、要は米軍の下請けをやるのみである。

 また、下請けという体制が基本的に割の合わないものだということは、全国の中小企業のみなさんが日々感じている通りだ。米軍の下請け化は、やがて全面的にわが国の主体性を喪失することに通ずる。

 単純にモノの軍備を整えようとすれば、国の体力はどんどん下降する。

 政府・自民党の諸君はまともに国の在り方を考えていないのではないか。