日々道楽

暴君の系譜

 英エコノミスト誌がトランプの経済政策を批判する原稿の冒頭に「トランプは16世紀の英国暴君ヘンリー8世と同じだ」と書いた。

 ヘンリー8世は、ローマ教会と断絶し、イギリス国教会の首長となり、修道院を解散して土地を没収した。海軍を育て、絶対王政を確立した。

 『英国史』でアンドレ・モロア(1885~1967)は「嫌悪の感情抜きでヘンリー8世の治政を研究できない」と書いた。

 カトリック信仰を否認しなかった、『ユートピア』の作者で大法官のトマス・モア(1478~1535)を斬首、6人と結婚したうちの2人も斬首した。プロテスタントに対する弾圧もやった。陰惨な治政であった。

 エコノミスト誌はトランプを最大の表現で痛罵したのである。

 モロアの『英国史』を再読してみた。ヘンリー8世時代のイギリスの人々は、ひたすら生活の安定を求め、社会のことには無関心で、そして権力を恐怖していたとある。

 暴君の登場を許すのは古今東西どこでもいつでも同じだと思うのである。