論 考

馬鹿につける薬なし

 夏目漱石先生(1867~1916)が、愛媛県尋常中学に赴任したのが、1895年4月。その11月、請われて学校の雑誌に寄稿した「愚見数則」というものがある。その一部である。

 ――馬鹿は百人寄っても馬鹿なり、味方が大勢なる故、己の方が智慧ありと思うは、了見違いなり、牛は牛連れ、馬は馬連れと申す、味方の多きは、時としてその馬鹿なるを証明しつつあることあり、これほど片腹痛きことなし――

 昨日の入管法改正案の衆議院通過につき、123年前の痛言を思い出したので、ここに記す次第である。