「専門家は批判するが具体策は出さない」という見解が少なくない。
なるほど、たとえば日銀の金融政策に対して専門家が財政運営の行き詰まりの懸念を主張するが、具体的にどうしなさいとは言わない。
しかし、専門家は、いまのような超金融緩和をやるべきではないと主張するのだから、それ自体が立派な具体策である。
もっと大きなところでは、資源・エネルギー問題を考えると、地球における生物の生活が持続できないという主張がある。
もちろん一挙解決の具体策があるわけではない。しかし、ズブの素人であっても、資源・エネルギー問題の視点抜きで経済活動をやっていればやがては行き詰ると考えるであろう。
一方、企業はひたすら功利主義で走っている。この問題などは具体的対案の前に長期的な方向性を確立するべきだから、地球規模の研究に本腰を入れなければならない。――ということは、これまた誰もが考える。
専門家が批判することを対案なしとして、聞く耳もたぬことになってしまうと、やがていつか大きなツケを払わねばならなくなる。
「わたし」が考えても仕方がないかもしれないが、考える「わたし」がいなくなったら——さて、どういうことになるのだろうか。と、専門家ならぬ素人は頭を抱え込む次第である。