論 考

哲学なき政治という意味

 哲学者カント(1724~1804)は、人間の3つの背徳を「怠惰・怯懦・虚偽」とした。

 人は無意識のうちに自分がいちばん可愛いいと思っている。生まれて育った過程を概括すると、幼児時代を過ぎれば、周囲から可愛いなんてことは言われなくなる。

 大人から可愛いとくすぐられてその気になって前進していたのだけれど、以降は自分で自分を前進させなくてはならない。自分で自分を育てるためには、なにごとによらず、「鍛練」が必要である。

 学んで自分を育てる(鍛錬)という意義はもちろん理解しているのだが、凡夫の情けなさ、ついつい人生をうたた寝してしまう。怠惰である。

 自分の歩むべき道を堂々と歩んでいくには、少なからず勇気がいる。カントは「あえて自分自身の悟性を使用する勇気を持て!」と記した。単に知識を得るだけではなく、考えて真の知恵として、それを活用せねばならない。

 これ、理屈は十分に理解するが、右顧左眄する場合が多いから怯懦である。

 さらに、なによりも悪いのが嘘をつくとか、偽りの行動をすることだ。

 つまるところ、嘘をつくのは、怠惰と怯懦がもたらす結果である。

 凡夫としては、「粉骨砕身、皆さまのために命を懸けてがんばります」なんてことは口が裂けてもいえないという次第だ。