論 考

バナナのたたき売り外交か!

 14日の安倍・プーチン会談で、「1956年10月19日の日ソ共同宣言を基礎として、日ロ平和条約を加速させる」という合意をしたらしい。

 日ソ共同宣言では、両国間の戦争状態を終結し、外交関係を回復すると同時に、「引き続き平和条約締結交渉をおこない、締結後に(ソ連は)歯舞・色丹を引き渡し(譲渡)する」という内容である。

 共同宣言締結は難航したが、1956年1月17日に平和条約の大部分は合意できた。しかし、領土問題で日本が4島返還を主張したので行き詰った。

 その後、同10月12日から鳩山首相(当時)がソ連訪問し、領土問題は実質的には棚上げして、日ソ共同宣言を締結したのである。これは、日ソ共に同年12月に批准している。

 つまり日ソ共同宣言まで戻って平和条約交渉するというのは、平和条約締結と歯舞・色丹の返還はセットである。

 ところでソ連は共同宣言にいたる交渉で、1955年に歯舞・色丹の返還を示唆していたが、日本が4島返還を押し出したので行き詰った経緯がある。

 この流れからすると、ロシアとしては、日本が4島返還ではなく、歯舞・色丹2島返還に方針転換することが、平和条約締結の前提条件となる。

 2島返還論者の鈴木宗男氏が頻繁に官邸に入っていることから、この動向はすでに推測できた。もちろん、鈴木氏は2島返還とはいわず、2島先行返還だというのであるが、国内の能天気連中はともかく、相手側を欺くことができないのは自明の理である。

 一方、ロシアにしても、平和条約を締結すれば直ちに2島返還しなければならないわけである。果たして、プーチン氏がポンと手を打つのかどうか。

 日本としては、4島か2島かは根本的な方針変更であるが、国会で、いや、自民党内部ですら十分に議論しているとは思えない。

 4が無理なら2だけでも、ゼロよりよかろうというのであれば、いったい、戦後の政府自民党の外交は何だったのでしょうねえ。