論 考

公開されない外交の危うさ

 2016年12月6日に、対ロシア経済制裁の長期化で経営難に陥っていたロシア国営石油会社「ロスネフチ」の株式19.5%を、カタール政府系ファンド「ソブリン・ウェルス・ファンドとスイスの資源・商品取引大手「グレンコア」が取得した。

 プーチン来日は同12月15日であった。

 日本も独立法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が手を挙げていたので、資源確保のチャンスを逃したみたいな記事が掲載された。

 ところが、この11月9日、ロイターによると、カタールのファンドには、ロシア国営銀行が60億ドル以上の貸付をしており、プーチン政権が国営銀行に迂回融資をさせていたという話である。

 日本は、ロスネフチ会長セチンと世耕経産相が交渉していたらしい。で、その商談成立した場合、JOGMECか、年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が株式を購入することになっていたという。

 日ロの商談は、日本側が「北方領土」問題とリンクさせるよう要求していたので行き詰ったようである。

 「ロスネフチ」はプーチン系企業であり、プーチンの弱みに便乗した巧みな外交というべきか? いや、国内で大きなスキャンダルを抱えているプーチンの権力維持に協力して、北方領土返還で手柄を立てようとするのは、安倍政権が切羽詰って、またまた何でもありの外交を展開しているとみるべきだろう。

 第一次世界大戦終了後、英国を中心に英語圏では「秘密条約反対」の世論が高まった。外交は政府にお任せしているが、妙な裏取引があると、長い目で見て、外交関係が歪んでいく。

 このケースも国会できちんと明らかにしてもらいたい。