論 考

米中間選挙と日本的秩序

 アメリカ中間選挙結果について、わが新聞で目立つ言葉は、「分断」「視界不良」「ねじれ」「混迷」というところである。

 民主党が下院過半数を制したのはまちがいなく民主党の勝利で、改選数が少なかったとしても上院で共和党が数を増やしたのは共和党の勝利である。

 トランプ氏が直ちに勝利したようなツィートをしたのは無理もない。もっと民主党が伸びる予測もあったのだからなおさらである。

 7日、トランプ氏はセッションズ司法長官の更迭を発表した。

 これは、下院歳入委員会で民主党が、ロシア疑惑やトランプ氏が公表しない納税記録の公表や、周辺高官の利益相反疑惑などの調査を推し進めると踏んでのことであろう。

 トランプ氏にとって、好ましくない方向へ選挙結果が出たことは事実である。

 わが新聞の論調は、アメリカ国内が分断され混乱しては困るというわけだが、暴走するトランプ氏をなんとかしたいという人々が奮闘しているわけで、そのための分断や混乱を秩序重視説で律するのは民主主義といえない。

 ひるがえって、わが国を考えればよろしい。人々が大人しいから、安倍政府与党は好き放題やっている。

 わたしは、アメリカ社会よりも、日本の「沈滞した秩序維持」の現状のほうが格段に非民主的事態だと考える。