論 考

集団退職の意義

 世田谷の企業主導型保育園の2カ所で、園長含む保育士7人が「集団退職」し、1か所の保育園が休園になった。

 「子どもに対して愛情がないのか」という見解もあるが、わたしは他の保育園で保育士が長時間労働で苦労しているという話を聞いた。

 この保育園の実態が報道ではよくわからないが、全国の保育園で保育士が絶対的に不足していることから推測すると、働く環境が十分であったのかどうか疑問を抱く。

 さらに話を広げれば、日本全国にブラック企業が多い。真っ当な労働条件で働けないのであれば、さっさと「辞める」という手がある。

 退職が「集団」となれば企業はやっていけない。労働する人の「尊厳」が守られないようであれば、退職は当然の行動である。

 労働条件の前提は労使対等である。経営側に労使対等の思想が確立していないのであれば、退職行動は「人権闘争」の意義をもつ。