論 考

韓国大法院のロジック

 韓国大法院が新日鉄住金に対して、元徴用工4人に1億ウォン/人の損害賠償を命じた。(10/30)

 日本政府は1965年の日韓基本条約と同時に締結された日韓請求権協定で賠償問題は決着済みだとする。

 大法院は、強制動員被害の法的賠償は請求権協定に含まれていないとする。

 その理由は、1910年に日本が「韓国併合条約」を強要して植民地にしたにもかかわらず、植民地支配の不法性を認めていない。(日韓基本条約締結の際、韓国併合条約の合法性について決着がついていない)

 日本が不法性を認めていないのだから、強制動員の請求権が協定の適用対象に含まれたとは言いがたい、とする。

 このロジックは間違いではない。

 日韓基本条約は、アメリカの強い後押しで、韓国経済の再建を目的として締結された。朴正熙大統領が、アメリカのベトナム戦争への韓国軍投入をテコとして韓国経済再建の支援を狙ったことが背景にある。

 韓国では「売国外交」だとして猛烈な批准反対の抗議運動が発生した。日本でも、「批准粉砕、ベトナム戦争加担阻止」の抗議運動が盛り上がった。

 日韓基本条約締結時に、きちんと植民地総括をしなかったことが、いまも怨念となっている。大法院判決はそこを突いたわけだ。