安倍氏が訪中して、日中関係改善がどのように進むか。とくに、今後の日本外交の位置決めの意義があるものになるか否かを、わたしは注目する。
二国関係のみについていえば、次の「四つの基本文書」をきちんと踏まえることが原則である。
① 1972年の日中共同声明(田中角栄内閣・周恩来首相)
② 1978年の日中平和友好条約(福田赳夫内閣・華国鋒首相)
③ 1998年の友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言(小渕惠三内閣・江沢民主席)
④ 2008年の戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明(福田康夫内閣・胡錦濤主席)
とりわけ、① 日中国交正常化の日中共同声明と、② 日中平和友好条約の2つが、両国関係の基盤として、双方の意思決定に際しての羅針盤になるべきである。
それ以降はいわば実務協力の時期に入ったのである。今回も9月12日、ウラジオストクで、習近平主席は「実務協力の新たな目玉(を作りたい)」を提唱していた。もちろん、それにも興味があるが、日本政府(野田内閣)が2012年の尖閣諸島国有化をして以来の両国の膨大なエネルギーの消耗戦について、解決の手掛かりがほしい、とわたしは思う。