20年前に、某大企業の人事部次長と歓談中の話だ。
わたし「部下を叱りますか?」。次長氏「叱りません」。
わたし「どうして?」
次長氏「部下を叱るタイプは出世コースから外れる傾向にあります。それに——叱るだけのインセンティブがありません」
親身になって叱っても相手に嫌われて恨みを買うのはかなわん。自分がそこまで仕事に対して打ち込むだけの待遇ではない、というわけだ。
叱るべきことがあっても、素知らぬ顔でやり過ごす。平穏かつ冷たい人間関係の、その先には、お互いにわれ関せずの組織風土が出来上がる。
なるほど熱い! パワハラはないけれども、コミュニケーション不全の先に組織崩壊の崖っぷちを、わたしは予想した。
たまたまか、その予想はぴったり的中した。
昔の記録を眺めていて思い出した 。