論 考

環境世界

 ユクスキュル(1864~1944)は、動物が主体として知覚し、作用する環境の総体が、それぞれの動物の世界をなすという学説を唱えた。

 これ、動物の環境世界という。科学的でない表現を使うと「井の中の蛙大海を知らず」にちょいと似ている。

 加計の旦那が、問題になっている「愛媛県文書を読まず」、なおかつ「身内のキーマンの聞き取りをやらず」に記者会見した。

 世間という世界からは「なんとアホな」「とんでもない」奴だという批判が出るのは当然である。

 もう、60年の昔の記憶が蘇った。わたしの田舎は、「ド」がつく田舎であるが、大人たちを見ていると、とにかく、世界が狭かった。日々の生活で付き合う世間が世界のすべてみたいな感覚の人が多かった。

 自分の世界で、自分の物語にしか生きていないものだから、予想外の問題が発生した場合、自分では問題解決ができない。本人の限界なのである。

 無理が通れば道理が引っ込む世界に生きている旦那衆が、あれから50年過ぎても依然として棲息しているわけだ。

 加計の旦那は、わたしの故郷の人ではないけれど、まあ、古き旦那の1人なのでありますねえ。