論 考

単なる差別発言ではない

 自民党女性議員某による「生産性」発言を巡って厳しい批判が出ているのは当然である。

 自民党の2012年改憲案を読めば、この発言は単なる差別に止まらないことが明確である。ここを押さえておきたい。

 現憲法第13条では、「すべて国民は、個人として尊重される」云々とある。自民党改憲案では「全て国民は、人として尊重される」と変えて、「国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り」云々としている。

 個人(現行)と人(改憲案)の違い、および「公益及び公の秩序」(改憲案)を挿入したことによって、彼らは「生産性」にまで波及させるのである。

 「個人」と「人」は似たようなものだが、人よりも「個人として尊重される」(現行)のほうが、より基本的人権に忠実である。

 自民党は疑いなく国家主義の党である。基本的人権を基盤とする民主主義の党とは言いがたい。

 ことは、一部の方々に対する差別的言辞ではない。基本的人権が何たるかをわかっていない。すなわち自民党が民主主義の政党ではないことが最大の問題なのだ。