論 考

短慮の大失敗を危惧する

 日本とEUとの経済連携協定EPAの締結は、国際的見地からすれば、また国内消費者の見地からも合理的であることは疑いない。

 自民党と盤石の関係を持っていたはずの農業団体の力が及ばなかったのは、確かに特筆大書するべきだろう。

 EU大統領のトゥスク氏は、保護貿易主義に翻弄される世界にとって「暗闇に差し込む光明」と表現した。

 さて、農業人口の高齢化と減少に歯止めがかからない。

 農業生き残りのために外国人労働者の無茶苦茶な働かせ方が問題になっているのは、わが国農業の展望がないことの証明でもある。

 農業をどうするのか。安倍的リーダーシップが、わが国農業を弱体化させているという事態を見過ごしてよろしいものか。

 トランプ氏の国内産業保護は、米国自動車工業会AAMなどの強い反対を受けてもいる。国内産業を守るとして、米国内経済を破壊する可能性がある。

 安倍氏は国際貿易を守るという旗を掲げているが、これまた国内経済を破壊する可能性がある。

 いずれにも共通するのは、しっかりと思索した結果だと言えないことだ。