論 考

安心とは

 新聞では豪雨被害が報じられているが、範囲が広いせいもあってか、断片的な情報で、全貌がよくわからない。

 治山治水は国土を治める根本概念だと昔からいうけれども、災害が起こればそれを修復することに追われる。

 基盤である土質や、大量の水が出た場合の排水などは、全体を俯瞰して対策を講じなければならないが、とても根本的対策に取り組んでいるとはいえない。

 たとえば、広島県は「まさ土」(まさど)という地盤である。花崗岩が風化して細かくなった土で、豪雨が地盤を浸すと、一挙に流れてしまう。

 わかっていないのではなく、わかっているが手が打たれていない。

 逃げるといっても、今回は急激に洪水が起こった。

 安心して暮らせるようにするためには、浮ついた国防論議ではダメだ。災害のたびに、こんな気持ちになる。