論 考

板門店の外

 本日の各新聞社説は、高所大所的視点に立とうとしつつも驚きの気配を隠しきれないのが滲んでいる。

 少し考えてみればわかるが、文在寅氏にせよ、金正恩氏にせよ、自分たちが国の舵取りの任に就いたときには、すでに国際的位置がカチンカチンに固まっていた。

 2人にあるのは、主体的に状況に働きかけるか、逆に流され続けるかの選択肢しかない。B=f(P、S)——B 行動、f 函数、P 主体、S 状況

 板門店宣言に至った南北首脳の選択は、P(自分)がS(状況)に働きかけて、状況を変えようとしたのである。

 文・金両氏の個人的思惑が何であれ、両者においては、主体的に状況を変えようということだったから、今回の宣言に至った。

 逆にいえば、両氏が、相手の狙いがどこにあるかに関して読み違いをしなかったのである。もちろん、ここまではなのであって、先の保証はない。

 過少に見ても、両氏が膠着していた状況に風穴を開けた。いわく、歴史を動かした。

 さて、「日本も平和の定着に向けて積極的に加われ」と朝日社説は主張した。左様、然りなのではあるが、まあ、主体的に動こうとするのであれば、第一に、なにゆえ朝鮮戦争が起こるようになったのか、明治時代から日本が朝鮮半島で暴れ回った歴史をきちんと回顧して、南北の人々からの信頼感を獲得するという基本的姿勢を構えなければダメだ。