論 考

外遊の幼稚な狙い!

 安倍氏は2012年12月以来の外遊が60回になるそうだ。訪問先は76か国・地域に及ぶ。ほぼ月1回のペースである。

 アメリカへ11回、ロシアへ7回。中国へ2回、韓国へ1回で、両国訪問は国際会議である。衆知のごとく「地球儀を俯瞰する外交」というのがキャッチコピーだ。

 いずれの国ともお付き合いは大切だから、直ちに効能が上がらなくても首脳外交で国家同士の親交を通じて、相互理解を深めるのは大切である。

 そこから浮上する問題は2つある。1つは、中国・韓国との関係改善に見るべきものがない。ご近所付き合いが悪いことが示しているのは、厄介な問題では成果がほとんど出ていないという事実だ。

 俯瞰――高いところから見下ろすのは、局所にちまちませず、大局観を以て外交をおこなうという意味だろうが、すべては「アメリカ・ファースト」だから、安倍氏によって日本外交が大局的外交に進化したという印象がないのは遺憾である。

 もう1つは、どうも国内に居たくないのではないか。なんといっても、外交は内政がきちんとしていなければならない。確かに、政局は与党が数を制しているから安定しているように見えるが、国民諸兄がいちばん期待している「社会保障と税の一体改革」などは放りっぱなしだ。

 とりわけ議会でじっくり話し合う姿勢が決定的に欠落している。

 なおかつ、モリ・カケ問題は依然として未解決。そこへ、またまた日本航空学園への国有地大盤振る舞い安価譲渡が露見した。その人脈は安倍氏につながっているように見える。

 という次第で、地球儀を俯瞰する「外交」というよりも、地球儀を俯瞰する「外遊」であり、国内政治の「ぼろ隠し外遊」みたいに、わたしは思う。