会計検査院は、国の収入支出の決算を毎年すべて検査する。憲法第90条2項によって、行政機関であるけれども、内閣に対して独立の地位となっている。
会計検査院が、森友学園への国有地売却に関する報告書を提出した。
その「要旨」は全文32ページ。検査に対する所見の結論は、
――国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とみられない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた。――
婉曲な表現ではあるが、国の一連の行為が妥当でなかったことを明確に批判している。
わかりやすい部分を抜粋すると、
a 近畿財務局と大阪航空局の間で、処分手続きにおける責任の所在が明確でない。
b 対策工事の内容の確認が十分でなかった。
c 国が森友学園へ返還する有益費の額が適切に算定されていなかった。
d 地下埋設物の撤去・処分費用の算定に当たり、深度、混入率等について十分に根拠が確認できない。
e 予定価格決定に当たり、評価内容を明確にした評価調書を確実に作成せねばならない。
f 決済文書(行政文書)は、売却に至る森友学園側との具体的なやりとり、有益費の確認、支払い等の責任の所在、地下埋設物の撤去・処分費の単価の詳細が確認できない。
要するに、土地売却費の算定も、手続きも杜撰だというわけで、従来政府側委員が適正価格だと唱えていたのが覆された。立派な背任行為である。
籠池氏が「神風が吹いた」と表現した事態がなぜ発生したのか。関係者の気持ちを忖度すると、やはり安倍氏・昭恵氏の明確な説明が必要だ。