論 考

アメリカの凋落

 南シナ海問題を巡って、トランプ氏が「仲介」を申し出た。

 ASEAN諸国の首脳は、「結構なお申し出」であるというprotocol laden(儀式塗れ)のflatter(お世辞)で応じたが、誰も飛びつかない。さすが、小国が多いとはいえ外交慣れしている。

 ASEANは実利を押し出す中国に惹かれる、というような解釈が新聞に出る。それもあろうけれども、なんといっても、信頼できない人物に仲介を求めるような世間知らずはいない。

 アメリカ共和党の税制改革案がボロクソいわれている。財政赤字拡大が懸念されるからだ。しかも、そもそも共和党は財政赤字抑制を基本的な構えとしてきた。それを混乱させたのが、レーガン氏であったが、トランプ氏はレーガン氏を信奉しているという。

 しかも、レーガン氏の時代よりもアメリカは世界的リーダーシップを失っている。来年の中間選挙で共和党がどうなるかという視点もあるが、なによりも、「アメリカ・ファースト」なんて言葉が空疎に聞こえてきた。