論 考

理性的に仕事しているか!

 三文オペラを演じているような首脳外交を見せられている(と、わたしは思う)ので、そこで、新聞の論説が大いに気がかりである。

 かつて、大本営発表を鵜呑みにして、そのまま検証もせず垂れ流した。果ては新聞によって煽られた世論によって煽られた新聞がさらに世論を煽るという悪循環を延々続けた。その結末は、まことに苦いものである。

 たとえば、日米韓がギクシャクすると書く。しかし、日米と韓国は拠って立つ基盤が異なる。

 第二次世界大戦が終わり、米ソによって南北分断されて70余年、以前の日本の植民地時代を含めれば100余年のつらく苦い歴史を刻んできた。

 その朝鮮半島の人々の心の底流に思いを馳せることなく、「えーい、面倒くさい、ややこしい奴は力で制圧してしまえ」みたいな世論を喚起してはいかん。

 わたしは、圧力だけで解決するとは思えない。最悪の帰結を想像するだけの感性をもたず、ひたすら制裁強化のみを主張する新聞論調は、21世紀的大本営発表を垂れ流しているとしか思えない。

 実際、核抑止論自体が理論的崩壊をきたしているではないか。