週刊RO通信

安倍氏は倫理的に退陣するしかない

NO.1218

 わたしは、遠慮なくいわせてもらえば、わが国に政治家が存在しないとはいわないけれども、圧倒的多数は、政治を生業としつつも政治家の名前にふさわしくない政局屋(選挙で勝つことしかオツムにない)だと思う。

 先の国会では伴食大臣が大活躍(?)して、見ているほうが恥ずかしくなるほどだった。連中だけではない。それに倣えば伴食議員が多過ぎる。報道のいうように自民党は緩んだのではない。自浄能力がないのである。

 もともと自民党は自分党である。国家国民を出しにするが、その上に吾輩(議員)が鎮座まします。戦後のほとんどの期間、政権を掌握しつつ、経済を除けば、世界における日本国の政治的価値が高まったとは到底いえない。

 その経済も見せかけや政治家の大ぼら修飾語を取っ払えば、一部の大企業が388兆円もの内部留保をもつのみで、国民生活は活力を失うばかり。政府の借金は増えるばかり——ところが、まるで痛痒を感じていない。

 社会保障がどうなるかわからない。ここまで来ても本気の認識がない。はっきりしているのは、これは歴代自民党政権が作り上げてきた結果である。このままではいかんから改善に着手しようと考えるのが当然だ。

 ところが全然その気配がない。要するに自民党がやってきた政治を総括すれば「問題先送り」だ。安倍政権も、その提灯担ぐ黒田日銀も、明日の希望を掲げて問題先送りするのみだ。後は野となれ山となれの無責任だ。

 先送りできなかったのがモリ・カケ蕎麦の食い逃げで、現行犯もどきだから逃げられない。そこへ幸いノース・ウィンドが吹いた。国難突破解散などデタラメを吹聴する。国難に非ず、安倍悪あがき解散というのが正しい。

 アメリカでは、責任をもって北朝鮮に対処できるのは米軍だという声が70%、トランプお任せは37%。なにをやらかすかわからない大統領だという見方がますます膨れ上がっている。

 大統領はシビリアン・コントロールの最頂点に立つ人だが危うい。そこで、軍人上がりのマティス国防長官・ケリー首席補佐官・マクマスター大統領補佐官の3人が大統領を教育できるかどうかに注目が集まっている。

 北の金正恩もなにをやらかすかわからないが、わが大統領も引けを取らない。もし、弾みで開戦するなんてことになったら大変だ。開戦は簡単だが、事態のコントロールは極めて難しい。これ、アメリカ人の考え方だ。

 ところがパトリオット安倍氏は、そのトランプ氏を焚きつけるような国連演説をやり、パトリオット麻生氏は「武装難民——射殺すべきなのか考えたほうがいい」などと、まことに奇妙にも高揚しているのである。

 つまり、食い逃げ問題から遁走するために、国難をでっち上げる。国難が発生する事態は、ちょっと考えればわかることだが、第三次世界大戦の引き金になりかねない。人類が大惨禍に見舞われかねない話である。

 国民の安全・安心、幸福を任せろという愛国者が、たかが自分の不始末! を始末できず、国と世界を大惨禍に引きずり込むような話にもっていく。無責任極まりないだけではなく、ペテンであり、それも極めて悪質である。

 それゆえ、わたしは、安倍氏はもはや辞任して国民諸兄にお詫びするしかないところに来ていると主張する。安倍氏が、自分の不調法に気づいていないとすれば、これまた、まことにお粗末だというしかない。

 わたしは、自民党という政党がデモクラシー政党ではないことが最大の気がかりである。2012年の自民党「日本国憲法改正草案」を読めば、この党が志向するのは敗戦前の「国家主義」であることが一目瞭然である。

 ドイツ総選挙ではメルケル陣営が奮闘したが、極右政党AfD(ドイツのための選択肢)が国会に議席をもった。得票率11%である。わが国では、パトリオットを標榜する自民党が長く政権をつないできた。

 わが新聞などは、ドイツは極右が心配だ、みたいな論調を掲げる。ちょっとお待ちいただきたい。わがほうは、メルケル陣営のようなデモクラシーを大切にする政党の存在感が決定的に希薄ではありませんか!

 安倍政権打倒を当面の目標にすることは理解できる。そして、その目標を確固として支えるのは国民のデモクラシー精神にこそあることを、職業政治家も、わたしたち庶民も絶対に忘れてはならない。