筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
何を考えているのかわからない。というのが一般の共通認識だろう。言うことが支離滅裂である。はっきりしているのは、トランプには発言の基準がなく、行き当たりばったり喚きまくることだ。一時期はノーベル賞をもらって当然なのに、もらえないと当たり散らしたが、世界平和に貢献するなど粉飾だということを自分から暴露した。ノーベル賞委員会の慧眼が光る。
高市訪米で、バカなことを飲まされなければよいが、というのが世間の心配だ。とにかく、トランプは一貫した論理がない。トランプの出方を待ってご機嫌に沿うような対処をするなら、ますます増長する。
それだけではない、自分の発言に責任を持たないのだから、こちらがそれに同意して、やがて時間の経過とともに矛盾が現れた場合、トランプ自身から反対の立場での文句を受け入れねばならない。手なずけて芸をさせようなどと考えるのは絶対だめだ。イラン攻撃すれば、委任によるホルムズ海峡封鎖が避けられないくらいは、外交の素人でもわかっている。トランプはそれをやって、いまさら大慌てだ。バカに付き合ってはいられない。
いままでの経過を眺めると、トランプが無理無法な発言をしても、誰も阻止しないのだから、増長するばかりで、現実と架空の区別もつかなくなっている。トランプの茶坊主連中は、自分で自分の首を絞めつけている。そろそろ気づいた人もいるが、まだ全体の流れにはなっていない。
イラン攻撃がもっともトランプそのものの事例である。カタールの仲介で、イランと米国の交渉が大きく前進していたのに、突然、攻撃を開始した。少なくとも、イラン攻撃の動機が核兵器開発疑惑や、差し迫った具体的な危険性でなかったことは明白だ。イヤーゴのネタニヤタフやイスラエル・ロビイストが篭絡したのは間違いないが、故・女衒財閥とのスキャンダルが厳しく取り沙汰されて、トランプ流目くらまし作戦に出たのもまず間違いないだろう。
このような手合いと付き合わざるをえないのは国難というには恥ずかしい事態である。政府自民党が長年米国一辺倒の外交方針を展開してきたから、表面上はともかく内部は大騒動だろう。しかし、考えようによっては、日本が主体的外交方針を打ち立てるチャンスである。
相手の出方待ちでは振り回される。振り回されず、少々の問題があっても揺るがない外交を確立するには、日米安保最優先の手探り外交ではなく、日本国の誇りと自負に支えられた外交方針を打ち出すことだ。占領下の吉田内閣時代であっても、なんとか日本の自主性を確保するべく苦心した。歴史の嫌いな高市だが、この程度の歴史的見識を回復することくらいはできるだろう。
