論 考

ガザ再建を軌道に乗せねば

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 ガザ停戦はほっとする報道だ。もやもやが晴れないのは、トランプの動きに一貫性がないからである。

 大きな事実は、ハマス・イスラエル双方が「人質」をすべて解放したことだ。ハマスは20人を解放、あと28人は死亡したと見られている。

 イスラエルは、受刑者250人、拘束者1700人を釈放❔した。受刑者には数十年拘留されていた人もいる。1700人は、2023年10月7日のハマスのイスラエル攻撃以後に拘束されて、何の罪か問われず、裁判も開かれていないというから、ハマスに対抗して人質にしたようなものだ。虐待、暴行もあったと内部告発もされている。

 13日、エジプトのシャルムエルシェイクで、中東・欧州20カ国が参加して、ガザ和平会議が開かれた。「参加国が地域における包括的な平和・安全そして共に繫栄するビジョンを追求する」と決議し、ガザ地域における包括的かつ持続可能な和平の取り組みを進展させる狙いである。

 停戦が逆流しないとしても、飢餓で劣悪な条件下で生活しているガザの人々に衣食住が曲がりなりに提供されることを考えても大変な事業だ。トランプは桃源郷を作るなどと吹いたが、所詮不動産屋である。ガザ再建という地道な仕事に関心があるとは思いにくい。

 当面期待されるのは、ガザの国連機関活動の再開である。これが円滑に回り始めればガザの人々の当面の危機はしのげるだろう。

 各国が支援活動を活発化するにしても、パレスチナ自身が自立・自律しなければならない。パレスチナ国家を認める国が圧倒的に多いが、国家を実体として活動させるためにはパレスチナ自身のガバナビリティが何よりも肝要である。

 数日前から、ハマスと一部族武装集団との衝突が発生し、13日までに双方で33人が死亡したという報道(ロイター)がある。

 華やかなガザ和平会議だけでは、ガザの再建は不可能だ。当分、安心することはできそうもない。