論 考

韓国大統領選挙まで一週間

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 尹錫悦大統領の戒厳宣言に始まった韓国政変は、新しい大統領があと1週間で選ばれる。

 意識調査結果では、李在明(共に民主党)46.7%、金文洙(国民の力 与党)37.4%、李俊錫(改革新党)9.3%で、野党の李在明がトップを走っている。他の二人はそれぞれ支持率を増やしているが、李在明の優勢は揺るいでいない。

 注目されるのは、2,3位の二人が一本化するかどうか。金陣営は盛んに一本化を働きかけているが李俊錫は最後まで単独で戦うと言い切っている。もっとも若い李俊錫は、一本化しても金では絶対に勝てないと断言する。

 目下の意識調査では、三人の対決なら李在明が勝つ。一本化して二人の対決になって、李在明対金でも、李在明対李俊錫でも、李在明が勝つという分析である。

 選挙戦は、野党・李在明と与党・金文洙の批判合戦が厳しい。李在明は、対立を超えて国民統合の大統領になると公約したものの、与党側の攻撃が激しくなって、どうしても金を極右、一本化は内乱勢力の結集だと批判する。それは結局、民主対反民主という根本的な対立になる。一方の金陣営は、李在明が裁判を抱えていることを執拗に追求し、果てはSNSで、容共・容北、敵と一体だとデマを拡散する。ネガティブ合戦が嫌になる有権者は少なくない。

 李俊錫は、若さと清新さをとことん押し出して、二大陣営対決の漁夫の利を狙う作戦であろう。

 あと一週間、人々の政治嫌いが主流になることはないだろうが、またまた大統領が分断・対立の交差点に立つことにならぬよう、戒厳宣言に駆けつけて民主主義の後退を防ごうとした人々の誠意が生かされる結果になってほしい。