筆者 高井潔司(たかい・きよし)
米は買ったことはないと暴言を吐いた農林大臣がようやく辞表を提出という形で更迭された。この江藤前農相について、私は放出した備蓄米が消費者の手に届かぬ前に、試食会をやって悦に入っていた段階で「呑気な農相」と批判する論考を本欄に投稿した。私はこの問題について何ら専門知識も有さず、ただ一消費者の感覚で投稿した。それほど米の価格は高すぎるのだ。
野党の追及も甘すぎる。前農相は、放出米をほぼ全量落札しながら、「米は高くない」と居直って、ほとんど流通に回さない全国農業協同組合連合会(全農=JA)に対し、何らの対応をしなかった。備蓄米というせっかくのカードを、JAに渡してしまい、なす術がないのだ。
それどころか、アメリカの米輸出が話題になると、「食糧安保」論を振りかざして、アメリカ産米の輸入の拒否を求めるJAに、口裏を合わせ、日本の食糧安保を守ると述べた。これでは、政府の備蓄米放出にもかかわらず、米の消費者価格は一向に下がらない。それだけでも十分、アウトであろう。
「米は支援者から頂くので、売るほどある」の発言は、私には「お金はJAから頂くので、配るほどある。JAさんには感謝しかないし、選挙は全く心配ない」と聞こえた。
ところが、野党の方は、米よりあんパンがお好みのようで、年金改革にあんこが入っていないと、政府を攻め立てていた。もちろんあんパンも欲しいけれど、当面の問題として、米とあんパンどちらが大事か、また政府の対応がまずいのはどちらか。米問題ではなかったか。
野党があんパンから米に矛先を変えたのは、前農相の暴言があってからの話だ。それも「5キロ3000円台にならなかったら、総理は責任を取るか」といったこれまた消費者の感覚は離れた攻撃の姿勢である。おそらくこの野党党首も米を買ったことがないのだろう。3000円台だって十分高いのだ。この政府批判は、「お安い御用」と石破内閣を喜ばせたに違いない。小泉新農相は「2000円台にする」と意気込んでみせる。
野党は、どうやら大甘党なんですね。