筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
力による平和、という。実は、これは平和ではない。
正しくは、力による抑圧である。抑圧だから、平和ではない。
力なき正義は何のツッパリにもならないという虚無思想が支配しているが、理屈を大事にしないと世の中はよくならない。
とくに、新聞などもいつの間にか、力の信奉論に与している。これではダメだ。新聞が発すべきは、言葉の弾丸だ。正論を踏み外せば言葉の屑でしかない。くれぐれも、頑張って平和の在り方を語ってもらいたい。
21世紀になるのに、大昔から相変わらず戦争を繰り返す。しかも、ロシアは国連の安全保障理事会の常任理事国で拒否権を持つ。
プーチンがいかに御託を並べようとも、常任理事国は国際平和の基準を指し示すのが本分である。プーチンが取り澄まして訳知り顔をしようとも、人格的品位のなさは隠しようがない。まことに遺憾だ。
トランプが、救世主のごとき平和を振り回しても、力による平和を唱える限り、プーチンと同じ穴のムジナであり、これまた人格的品位なきこと顕著である。
トランプーチン路線による和平なるものは、理論的には完全なインチキだ。
ただ、戦争しているウクライナの人々の苦しみを思えば、一秒でも早く戦火を終わらせたい。その切なる願いに便乗して、政治家としての虚名を高めようとするトランプの根性は下衆の極みでしかない。
ロイター調査では、トランプの支持率が44%、不支持率が51%になった。本来ハネムーン期間であるが、早くも不支持が支持を上回った。
しかも、トランプは大車輪で躍起になって大統領令を発しているのだから、おおいに当て外れである。トランプの相棒マスクに対する反発も大きいようだ。
ひょっとすると、意識調査結果が何か重大な兆候を示しているかもしれない。