筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
天下御免の暴言恫喝居士が、今度は、ガザの人々を外へ移住させて、米国が同地を所有し再建すると吹く。中東のリヴィエラにして世界の人々が住む構想だという。思考が柔軟というよりも、破天荒である。
パレスチナの自決権、人々の居住の自由、パレスチナの歴史をまったく知らないわけではないだろう。パレスチナとイスラエルの二国家共存も知らん顔だ。
いかに、茶坊主ばかり集めたにしても、トランプ・チームの中に、ちょっと待てよとブレーキを踏む人が1人もいないのだろうか。これではアメリカの暴走を止められない。
これは典型的な地上げ屋の手練手管である。甘い言葉、怖い言葉で地権者を追い出す。アメリカでは、地上げ屋をland shark、陸のサメというらしい。ぴったりだ。
sharkには高利貸、詐欺師の意味もあり、card sharkならばいかさま師という。これまたトランプにふさわしい。いずれにしても品位がない。
ガザの再建をいうなら、住民のためである。その住民を追い出すのだから、その点ではイスラエルの希望通りである。1948年の建国以来、イスラエルは植民政策をごり押ししてきた。
見方によれば、喧嘩両成敗みたいに扱っているようでもある。そして、アメリカが漁夫の利をいただく。これはMAGAにも帳尻が合う。グリーンランド同様、ここにも米軍基地を構える所存か?
当然ながら、パレスチナはもとより、中東諸国、独仏英など抗議の声が上がっている。賛成するのは、ネタニヤフ、プーチンと金正恩くらいだろう。
ここまでくれば、アメリカ大統領だとか、アメリカが国際秩序の軸になるとかするとか、恥ずかしくて口にできない。
日米同盟をさらなる高みに上げるというのは、どうなるか? この状態でそれを推進するのは、いくらなんでも恥ずかしくてできないだろう。
もちろん、恥も外聞もきれいさっぱり捨て去って、「結局、おカネと力でしょ」とばかり、なにがなんでも親分子分の関係を推進する手もなくはない。ただし、そんな節操のないことをやるようでは、もはや政治家とは言えない。
世界の政治家が、トランプを反面教師とするなら意味がなくはないが、こんな手合いとよろしくやろうとするなら、終末時計が間違いなく最後の時を示すしかない。
ネタニヤフの次にトランプに会うのは石破氏である。荷物が重たいのは察するが、トランプよいしょをしないでほしい。程度の低い連中は、甘い顔をすればつけあがるものだ。