論 考

ハリス攻勢、健闘

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 9月10日フィラデルフィアで開催された大統領選挙候補者討論会が終わった。冒頭、ハリス氏が歩み寄って握手で始まった。

 ハリス氏がネックとみられる経済問題を、トランプ氏は十分に切り込めなかった。逆に、トランプ氏売り物の高関税政策を批判されたが、効果的な反論ができなかった。

 ハリス氏は、「世界がトランプ氏を笑っている」、「ウクライナを放棄する、恥ずべき人物だ」と切り込む。

 挑発されて守勢に回り苛立ったトランプ氏は、「オハイオ州スプリングフィールドで、移民が地元の人々のペットの猫を食べている」と口を滑らし、ABCの司会者にそんな事実はないと否定された。

 写真を見ると、ハリス氏は表情豊かに、得意の笑顔をふりまき余裕をみせた。トランプ陣営は、挑発に乗らないように釘を刺していたが、地が出て減点を増やしたようだ。

 ハリス氏が、「人種差別する人が大統領になったことは、米国の悲劇だった」と語ったが、これは聞く耳を持つ人々にはおおいに拍手されただろう。

 討論会中に、テイラー・スウィフトさんがハリス氏支持を表明したのも、ハリス陣営にとって大きな支援になっただろう。

 討論会の評価はこれからだが、事前のトランプ優勢をひっくり返して、ハリス勝利になるのは間違いなさそうだ。

 SSRSの調査によると、ハリスに軍配63%、トランプは37%であった。