筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
兵庫県知事斎藤氏に対して、9月12日全政党が辞職要求する。9月19日には議会が開会する。
斎藤氏が辞職要求に応じない姿勢を示しているので、議会としては知事不信任決議案を提出することになる。
可決されると、知事は10日以内に議会解散するか、それをやらなければ10日過ぎれば失職する。
議会解散すれば県議会議員の選挙がおこなわれ、新議会開催後、再度不信任案が可決されると知事失職になる。この場合は、2~3か月、県政が混乱を続ける。
常識的には、知事の所業の責任なのだから、知事が辞職し、辞めたくないのであれば、出直し知事選に出馬して信を問うほうがすっきりする。
さて、本人は、四面楚歌になっても辞めないと突っ張っている。パワハラ問題より、県政が大事だから、引き続き県政を進めるという理屈である。
政治家得意のすり替え論だ。県政推進が大事なことは当然至極である。自分の不始末で県政に大混乱を引き起こした。県職員もうんざりして、こんな知事のもとで働きたいとは思うまい。
ところが不始末批判に比べれば県政が大事だとすり替える。こうなると、居直り、居座りしか本人の眼中にないから、手間と時間がかかっても、決着するまでやるしかない。
県知事は、もちろん、職員を指導牽引できる能力を持たねばならない。その能力の大きいものがマネジメントで、その中で大きいのが人事である。人事で率先して不始末をしでかした本人が、職員を指導するためだなどと抗弁するのは見苦しい。
たまたま兵庫県知事の問題ではあるが、しかし、政治家をめざすような人が正味自己中心でしか思考できないのであれば、政治とは無関係な問題で政治が混乱停滞する。自民党の裏金問題もしかりだ。
自民党総裁選の場面になって、裏金議員の好き放題の発言が聞こえてくる。究極の解決策は、有権者がもっと厳しく議員としての人格識見を問うようになるしかない。人気投票や、風次第の選挙をやっているのではだめだ。