論 考

日本ができること

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 日本の憲法第9条は、むしろ外国での評価が高いかもしれない。(ただし、最近は高かったというべきだろう)武力をもって威嚇や紛争の手段にしないという決意は、すべての戦争を忌避する人々にとって心強い支えだからだ。

 この憲法を背負っているのだから、国際政治において、日本は独自の光彩を放つことが可能である。

 しかし、自民党は歴代、せっかくの憲法を駆使して存在感を高めるどころか、武力をもって威嚇し紛争を引き起こす国の仲間入りに奔走してきた。つむじが曲がっているだけではない。宝の持ち腐れ。猫に小判、自民党に平和憲法というしかない。

 エジプトのアプデルアティ外相が来日して、パレスチナ問題解決のための大事な発言をした。いわく、

 「中東地域の世論は、人権や個人の尊厳を訴える国々が、尊厳をもって生きるというパレスチナ人基本的権利を無視していることを、二重基準だと受けとめ大きな怒りも覚えている」。

 まったくこの言い分に異議は挟めない。

 アメリカは、やっと腰を上げてイスラエルの説得にかかっているらしいが、なかなかケジメがつかない。

 報道は、公正な! アメリカがイスラエルを説得しているかのような論調だが、実はそうでないから、イスラエルが好き放題続けている。交渉の中身が詳細にわからない状態において、イスラエル(アメリカ)が発する和平提案をハマスが拒否しているような報道をするから、国際世論も大事なところで力が抜けている。

 日本が憲法の趣旨を理解しているなら、少なくとも、パレスチナ国家を認める程度の行動を起こすべきだ。

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 アメリカ追従ばかりやっていると、本当に独立国の自立的精神を失ってしまう。そればかりではない。最近は、アメリカ外交の提灯根持ちに動いている。

 これでは、武力を使う以前におつむが平和勢力ではなくなっている。

 いまの若い人々は、頭はよいかもしれぬが、大事なことが欠落している。それは、日本の敗戦で当時の人々がおこなった反省にまるで無関心なことだ。どなたさまも、自分の頭で、日本の近代史をつかみ取らねばならない。