論 考

弾みがついたハリス氏

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 面白がってはいけないが、米国大統領選挙は一挙に佳境に入る、の感。

 ハリス陣営が、候補者指名獲得に必要な過半数1976人を超えて2538人の支持を獲得した。7月24日までに過半数を獲得したいと表明していたが2日早く達成した。

 デラウェア州にあるバイデン選対本部は、そのままハリス選対本部に転換して大車輪の活動を展開している。

 一時民主党に献金を停止していた支持者も献金を再開した。21日から22日までの24時間で8100万ドルの選挙資金を集めた。これは今回選挙戦で民主・共和両党が集めた最高金額になるという。

 AFL-CIO(アメリカ労働総同盟)も支持を表明した。

 バイデン氏の撤退宣言が遅かったという批判があるが、ギリギリまで引っ張って満を持した結果となった。百戦錬磨、老獪なバイデン氏が打った土壇場での大勝負ではないか。

 早い時点で撤退宣言をすれば、民主党内はそれこそハチの巣をつついた大騒動になっただろう。バイデン氏が撤退する場合に、ハリス氏が意中の人であったとすれば、撤退発表の時期は値千金となった。

 ハリス氏は短いスピーチで、自分の検察畑からカルフォルニア州司法長官のキャリアに触れて、「私はあらゆる犯人に対応した。(それは)女性を虐待したもの、消費者を食い物にしたり、自分たちの利益のためにルールを破ったりする詐欺師だ。私はドナルド・トランプをよく知っている。」と語った。

 罵詈雑言のトランプに対して、民主主義の守護者として鋭い舌鋒を揮うことになりそうだ。

 日本流なら後期高齢者が、後期高齢者を老人呼ばわりした戦術はそのままブーメラン現象を起こすだろう。

 面白くなった。