論 考

バイデン撤退、ハリスブーム起こせるか

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 バイデン氏の撤退表明、時間がかかったようでもあるが、トランプ陣営のにぎにぎしい上演が一応落ち着いたところであるから、それなりにタイミングを計ったということだろう。

 民主党の党大会は8月19~22日なので、すでに1か月を切った。これからどんな展開になるのかわからないが、いかなる展開にしても、ピンチに当たって民主党の結束力が有効で円滑に体制を整えることが大事だ。商売で、クレーム処理がよくてファンを獲得するのと同じ理屈だ。

 バイデン氏は、副大統領のカマラ・ハリス氏を候補者後継に指名した。このタイミングはわるくない。

 このまま党内が一致団結箱弁当で押せ押せムードをつくられるか。

 意識調査によっては、ハリス氏がトランプと拮抗しているのもあるが、実際に動き始めてみないとわからない。

 わたしの予想的提言としては、イメージとしてはオバマ氏が急速に支持を増やしていったスタイルを取れるかどうか。

 オバマ氏は「CHANGE」を核心としてアッピールした。ハリス氏であれば、「REBORN」はどうだろうか。

 トランプによって破壊され、さらに破壊されつつある民主主義を再生し、敵を作って攻撃するスタンスとは異なって、対立と矛盾を通してより高い段階の認識に至るという、政治哲学、コミュニケーションの王道を押し出す。

 ハリス氏の人物識見には定評がある。その持ち味を最大限発揮するには、こんなところがよいように思う。