筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
トランプを狙撃した20歳の青年は、身元調査が進んでいるが目下は決め球がない。あえて、わたしの推測を記しておく。
彼に政治的意図はなかったと思う。いまは、共和党員であるから、トランプを倒す意味はない。3年前民主党に15ドル寄付したことがあるそうだが、草の根隠れ民主党員というような高度な政治性をもつならば、トランプを狙撃して倒すことが民主党にとって汚名になることくらいはわかる。
精神疾患歴も軍歴もない。上位中間層家庭に育ったという。
わたしがもっとも関心をもったのは、彼はいつもイジメをうけていたことと、独りでいることが多かったという証言である。
彼は、イジメに対する恨みや、イジメをする連中が幅を利かせているメリトクラシー社会に対する報復を企てたのではないか。
メリトクラシー(meritocracy)とは、単純に表現すれば実力主義社会である。いわく、人の評価は、身分・家柄などではなく、本人の知能・努力・業績によるべきだとする。
オタマジャクシはカエルの子である。みんな一緒にカエルになるならば問題はないが、自分だけがオタマジャクシのままだと思うならば、おいてけぼりをくらってサビシイ。しかもイジメられている。サビシイだけではなく、孤独と世間を恨む気持ちが高まって、世間を見返してやろうと深刻に思いつめる。
世間をアッといわせてやる。そのターゲットは、誰もがメリトクラシーの勝者だと認める人でなければならぬ。彼は、トランプを倒すというだいそれた物語をつくり、父親の半自動小銃を持ち出して凶行に及んだ。
というのが、わたしの推測である。
