論 考

風情なき世情ではございますが

 秋のながあめ、秋霖、秋黴雨(あきついり)——秋雨前線によって、秋入梅の風情を、柄にもなく窓から眺めている。

 内外にごたごた少なからず。

 野党が臨時国会を開けと要求した際は、モリ・カケ騒動で追い詰められて知らんぷりしていた安倍氏が、ここへ来て臨時国会開会して、解散総選挙へ踏み切るという情報が流れる。

 北の三代目が騒動を起こしてくれるお陰で、内閣支持率回復。この際総選挙に打って出て、非力な野党を蹴散らかす。以て戦後の大日本帝国領袖を夢見るというところであろう。

 そうは問屋が卸すまいが、まあ、夢見る自由はカラスの勝手だ。

 江戸時代の蕉門十哲の1人、志太野坡(1662~1740)は「立ちさわぐ事皆すみて秋の雨」と詠んだ。

 野坡は、やや低俗の傾向ありと評価されるらしいが、なかなか庶民的心情を表現しているのではあるまいか。

 この人、三越百貨店の前身越後屋江戸店で番頭さんをやったことがあるそうだ。

 秋霖を味わって、カラカラのオツムをじっくり潤わせたいものでございます。