論 考

政治家は暇か!

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 自民党には中央政治大学なる機構がある。派閥全盛時代には、閑古鳥が鳴いていたそうだが、派閥解散の動きが出てからの勉強会には一転して100人ほどが集まったという。中央政治大学の関係者が、「みんな行く場所がないんだ」と感想をもらしたとか。

 この勉強会は背骨勉強会というもので、歴史観を勉強するらしい。自民党議員諸氏の歴史観は、しばしば批判されてきた。ぜひ、まともな歴史観を勉強してほしい。なにしろ、長期政権を担った安倍氏は、ポツダム宣言すら読んだことがないと公言するし、怪しい宗教団体との深い関係も取り沙汰された。

 わたし自身は、思想が右だろうが左だろうが、三角だろうが丸だろうが、いちいちケチをつける気持ちはない。ただし、奇妙な歴史観に凝り固まらないでもらいたい。

 また、社会をよくするために政治があるのだから、レッテルの貼り合いに熱を上げないでほしい。いわば、頂上は1つとして、登山道が異なるくらいの認識で、Aなる意見とBなる意見を議論した結果として、納得づくCなる見解に到達するような気構えで議論してもらいたい。

 それにしても、「行く場所がない」というのは違和感がある。議会で論議するべき課題は山ほどあるのだから、議員諸氏は勉強に忙しいはずである。

 失礼顧みず言わせてもらえば、勉強する気さえあれば際限なく勉強できる。勉強しつつ議会に臨めば、裏金を使ってアホなことに熱を上げる暇などないはずだ。

 民主主義にはおカネがかかるなどとうそぶいているが、実は、暇を持て余しているからおカネが必要なのに過ぎない。「小人閑居して不全をなす」という言葉を実践してどうするんだ。