筆者 POOHさん(たじま・かずお)
絵は目には見えないものも描く。「Shape of my heart」というスティングの歌がある。「心の形」とでも訳すのだろうか。
それを絵に描けないかと考え、小さなスケッチブックにボールペンで夜な夜な寝床で落書きしている。無意識に引くボールペンの線が徐々に形になっていく。しかしこれは本当に無意識なのだろうか。次第に疑問が湧いてくる。
人間の行為に無意識などあり得ないのではないか。何かの記憶が働いて脳細胞がボールペンを持つ手と腕に指令して動いているのだろう。これほど作為的なことはない。
絵を描くというのは何処まで行っても「作為的」なのだ。そもそも目に見えない不可視のものを可視化するのだから「作為的」でないはずがない。そんなことを考えていると段々目が冴えてきて眠れなくなってしまう。これが私の絵を描く暮らしである。