筆者 曽野緋暮子(その・ひぐらし)
約2年前に痛めた左膝に水が溜まらないように、約3ヶ月に一度外科で経過観察をしている。「しっかり歩いて、しっかり筋トレしてください。」と医師からアドバイスされ、痛みが出た時のために湿布薬を処方してもらう。病院の隣にある薬局で湿布薬を受け取る。
今回、薬剤師から「スマホを使われていますか?」と訊ねられた。使っていると返事をすると「つながる薬局とLINEの友達追加をしませんか。」と言われた。①処方箋を受け取った時点で処方箋に記載してあるQRコードを読み込めば、薬局に着く前に手配が終わっていて、待ち時間が短縮できる。②データが残るので薬手帳が不要になる。③LINEで薬局と相談が手軽にできる。と次々にメリットを紹介された。
「でも、スマホは不安だなあ」と私。「セキュリティは万全ですよ。」と自信満々の答えが返ってくる。「でも、ネットは繋がらないこともあるし。」とグズグズする私。結局、薬剤師から説明チラシを受け取って解放された。わたしの考えを整理すると、①病院からこの薬局まで歩いて5分とかからない。薬局の待合室はいつも高齢者で混んでいる。QRコードでデータが早く届いても薬を受け取る時間が早まるとは思えない。②全ての薬局がこのシステムを採用しているなら薬手帳は不要になるだろうが、紙の薬手帳の薬局も残るだろう。ネット上の履歴と紙の薬手帳が混在すると面倒だよなあ。③病気や薬等微妙な話をスマホで入力するなんてまどろっこしいし、文章力に自信がない。
この「つながる薬局」と言うシステム、高齢者で混んでいる待合室を眺めているとこの中の何割の人が対応できるのかな? とも思う。
バーゲンの服を買おうとお店に入った。手頃な品があったのでレジへ。「当店のアプリをお持ちですか?」孫年齢の店員さん。初めてのお店なので当然持っていない。時間に余裕があったし、ノルマがあるのかなって感じだったのでアプリを入れることにした。スマホのメールアドレスは暗記しているので良かったが、8文字以上半角英数字のパスワード入力で躊躇する。思いつかないので使い回しのパスワードを入れる。自分で個人情報をばら撒いているようなものだと思いつつ住所、氏名、電話番号を入力。完了画面にいくが、完了できない。
店員さんと3回位トライするが、ダメ。タイミングが悪いかもと一旦、電源を切って再度トライ。今度は無事に完了となった。スマホとかパソコンはこれがあるから困る。時間に余裕がある時は良いが、焦っている時は結局スマホを閉じてしまうことも多い。
何年振りかで若い友達と一緒に居酒屋へ。楽しく喋って、飲んで、食べた。会計は任せてと言い、レジで「d払い」しようとすると回線の不備で使えないと言われた。では、クレジットカードでと言うと、こちらも今使えないと言う。冷や汗もので財布を開くと勘定分の現金がギリギリあってホッとした。レジでもたもたしていたので若い友達から「大丈夫ですか?」と声がかかった。(笑)
これからスマホのない生活は考えられなくなりそうで1歳でも若い時に習得しようと思っているが、日々のトラブルに振り回されることが何と多いことか。でも、有難いことに若い人達がスマホに困っている高齢者に優しいので、とても助かっている。