論 考

トランプは反乱を扇動した

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 コロラド州最高裁が2024年大統領選挙投票用紙からトランプの名前を除外する判決を出した。大統領選挙へトランプの出馬資格を認めない判決である。共和党の一部と無党派層のグループが共同して提訴した案件についての判決だ。

 判決の趣旨は、2021年1月6日の議事堂におけるトランプの演説は憲法修正第1条で保護されないとする。

 修正第1条は、信教上の自由、言論の自由、集会の自由、政府に対する請願の自由などを規定しているが、トランプ演説が憲法の保護の外だと主張している。 

 トランプ演説は、議会襲撃の反乱を扇動したものであり、ペンス副大統領に憲法上の義務を遂行しないよう要求した。これは修正第14条(1868年確定)に違反していると主張する。

 憲法修正第14条(1868確定)第3節は――かつて連邦議会の議員、合衆国の官公吏、各州議会の議員、または州の行政官もしくは司法官として、合衆国憲法の支持を宣誓し後に合衆国に対する動乱もしくは反乱に加担し、または合衆国の敵に援助または助力を与えたものは、なんぴとも連邦議会の両議院議員、大統領並びに副大統領の選挙人となり、または合衆国もしくは各州の下において文武の官職につくことはできない。しかし、連邦議会は、その各議院の三分の二の投票によってこの不能力を解除することができる。

 つまり、トランプの演説は合衆国に対する反乱を扇動したと結論した。

 トランプ陣営は猛反発しており、連邦最高裁へ上訴するが、コロラド州最高裁の判決は、いままでもやもやしていたものを明快に指摘したわけだ。

 この判決が確定すれば、コロラド州ではトランプは大統領候補にはなれないことになる。どんな具合に世論が湧くのだろうか。