くらす発見

日常化のおぞましさ

筆者 難波武(なんば たけし)

 AFP電子版(11/29)のガザ現地ルポ記事に気持ちを突き上げられた。

 ――「戦争は本当に怖かった。でもいいこともある」と言ったのはナビル君(8歳)だ。両親に聞かれたら困ると言いながら「学校も壊されたからしばらく行かなくていいんだよ」と話した。――

 ガザ、廃墟と化したイスラエル国境に近い村での取材だ。

 ナビル君は、戦争で学校が壊されたことを喜ぶほど学校が嫌いなのではない。無邪気な子どもは、相対比較などして納得しているのではない。

 行かなくていいのは、なにかの都合で学校が休みになったときの気分で、それがそのまま戦場の廃墟で口に出た。

 このおぞましさは、戦争が日常化してしまっているからだ。

 たぶん、ご両親が聞かれたら胸が張り裂けんばかりだろう。わたしもたまらない。

 戦争を日常化させたのは大人だ。