論 考

醜悪な変貌

 ちょっと情緒的なことを書く。

 映画『Exodus(栄光への脱出)』を観てから60年近く過ぎた。モーゼの出エジプト記(Exodus)が彷彿した。1948年のイスラエル独立宣言への人々の感動が伝わってきた。虐げられたユダヤ人の苦悩を思えば、なおさらである。

 いまの惨状から、ユダヤの人々のかつての精神的高揚を見るのは無理だ。

 目には目を、歯には歯をという言葉もあるが、いまのイスラエルは領土拡大に精出しているわけで、19世紀列強の時代錯誤に陥っているとしかみえない。

 映画を観た当時、青年たちは『若者よ』をよく歌った。画面のなかの若い2人が銃をとる姿は気の毒に感じた。~~美しい心が逞しいからだにからくも支えられるときがくる、その日のために身体を鍛えておけ~~という歌詞だ。

 しかし、逞しい体だけで美しい心が無くなってしまえば、ロマンなどない。